PoCが事業化しない構造的原因
医療機関向けの新規事業が「PoCまでは進むが、その先に行かない」という現象は、医療・ヘルステック業界では極めて一般的である。その根本的な原因は、「検討主体が曖昧」「評価指標が定義されていない」「現場合意が後回し」という3つの構造的問題に集約される。
検討主体の設計
医療機関では、新しいソリューションの導入を誰が主導するかが不明確なことが多い。IT部門、事務局、診療科、経営層のそれぞれが部分的に関与し、「誰が最終的に決めるのか」が曖昧なままPoCが始まるケースが少なくない。その結果、PoC後に「次のステップを誰が推進するか」が決まらず、停滞する。
評価指標と現場合意
「PoCで何が確認できれば「成功」なのか」を事前に定義していないプロジェクトは、どんなに良い結果が出ても「次に進めない」状態に陥る。同時に、現場のスタッフ(看護師、技師、医師)が「PoCの存在を知らない」まま進行し、本番化段階で初めて反発を受けるというパターンも典型的である。
初期設計の重要性
これらの問題は、PoCの「後」ではなく「前」に設計する必要がある。検討主体、評価指標、現場ステークホルダーの巻き込みを「PoC設計」の段階で行うことが、事業化への唯一の確実な道筋である。